富田泰子ソプラノリサイタル 〈正統ベルカントの真髄 Vol.8〉


富田泰子ソプラノリサイタル
〈正統ベルカントの真髄 Vol.8〉
Ricordi
2025年4月 27日(日)14:00開演(13:30開場)
Hakuju Hall
(千代田線「代々木公園駅」出口1 /小田急線「代々木八幡駅」南口 徒歩5分)
全席指定 5,000円
【出演】
富田泰子(ソプラノ)
山田武彦(ピアノ) 鈴木皓矢(チェロ)
【演奏予定曲目】
Bellini:マリンコニーア Malinconia,Ninfa gentile
フィッリデの悲しげな姿よ Dolente immagine di Fille mia
優雅な月よ Vaga luna che inargenti
Bellini:オペラ《カプレーティ家とモンテッキ家》あぁ、幾たびか…
Opera 〈I Capuleti e i Montecchi〉
Oh quante volte,oh quante
Puccini:オペラ《トスカ》「歌に生き、恋に生き」
Opera 〈Tosca〉Vissi d‘arte vissi d’amore
山田耕筰:『鐘がなります』『からたちの花』
『なみだ』『野薔薇』『この道』
武満徹:『三月のうた』『翼』『小さな空』
後援:公益社団法人 日本演奏連盟
【チケット
ビーフラット・ミュージックプロデュース
03-6908-8977 (火-金 11:00 -17:00)
チケットぴあ https://t.pia.jp/ [Pコード:292316]
※演奏曲目は予告なく変更となる場合がございます
※未就学児の入場はご遠慮ください
ソプラノ 富田泰子さんに寄せて
岸 純信(オペラ研究家)
ソプラノ富田泰子がステージから客席に届けるもの、それは「声の光」である。彼女の真っ直ぐな声音は、天から降り注ぎ大地を温める陽光のごとく、聴く人の心をストレートに照らしだす。だから、毎回、リサイタルの場に集う多くの方々が、帰りがけに朗らかな笑顔を見せるのだ。「身体が温まった!」といったコメントも、これまでたびたび耳にした。
筆者が知る富田は、本物の探究者。どれほど学んでも、「その先があるから」と歩みを止めようとはしない。早くからローマに渡った彼女は、素晴らしき師の教えを受け、輝かしくもしなやかであり、柔らかくとも勢いあるベルカントの発声法を身体に叩き込んできた。だからこそ、彼女は常に、イタリアの作曲家で最も難しいベッリーニのアリアや歌曲に取り組んでいる。同じベルカントの作り手たちでも、水流の如くスムーズなロッシーニや血潮の如く烈しいドニゼッティの旋律線とはまた違って、ベッリーニのそれは独自の粘性を帯び、メロディラインの力を「保つ」ことが肝要になる。シェフが皿に一筋のオリーヴオイルを垂らすときの緊張感と同じく、ベッリーニのメロディも、歌い手に極限までの集中力を求めてくる。それにたじろがぬ勁い精神の持ち主だからこそ、富田はこの作曲家に全身全霊で打ち込むのである。
それゆえ、ここで敢えて提言を。富田泰子には「変化を怖れずに」いて欲しい。新しい色のドレスを選ぶように、選択肢を増やせば新発見もあるだろう。山田耕筰やプッチーニの曲が、彼女の歌で新たな色合いを帯びるさまを、今から楽しみにしている。

富田泰子・Yasuko Tomita (ソプラノ)
武蔵野音楽大学音楽学部声楽学科卒業、同大学院声楽専攻修了後、渡伊。ローマ・サンタ・チェチーリア国立音楽院にて更なる研鑽を積む。帰国後は、ソロリサイタルをはじめ、各地で多数のコンサートに出演。
バロック、古典から現代、日本歌曲に至るまで多彩なレパートリーを持ち、ベルカント唱法の的確なテクニック、透明感のある声と圧倒的な表現力は各方面から高い評価を得ている。
2012年より白寿ホールにて行っているソロリサイタル「正統ベルカントの真髄」はシリーズ化しており、2019年には日本演奏連盟/山田康子奨励助成コンサートにて第6弾を上演し、大好評を博した。
また、ヴォイス・呼吸法トレーナーとしても精力的に活動しており、各地で行なっている『呼吸法講座』は大きな注目を集めている。
2016年4月、初のソロCD「RAGGIO 光」をリリース。
音楽現代、レコード芸術、モーストリー・クラッシック、ハンナ、CDジャーナル各誌にも取り上げられ、「イタリアで磨き上げたベルカント唱法の的確なテクニックを有し、透明感あふれる豊かな響きと多彩な表現力を備えたソプラノ。優美に時に涼やかに、また時には憂いを帯びながら伸びやかに飛躍していく美声が、タイトル通り『光』を思わせるような輝きを放つ。」と高く評価され、音楽の友社「STEREO誌」では特選盤に選出された。日本演奏連盟会員。

山田武彦・Takehiko Yamada(ピアノ)
東京藝術大学大学院作曲専攻修了。1993年フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科を首席卒業(一等賞)。帰国後はピアニストとして数多くの演奏者と共演、的確でおおらかなアンサンブル、色彩豊かな音色などが好評を博し、コンサート、録音、放送等の際のソリストのパートナーとして厚い信頼を得る。2004年より“イマジン七夕コンサート”音楽監督、2007年より“下丸子クラシックカフェ”ホスト役を担当するなど、ユニークなコンサートの企画にも参加している。全日本ピアノ指導者協会正会員、日本ソルフェージュ研究協議会理事、日本ピアノ教育連盟会員。東京藝術大学招聘教授を経て現在同大学音楽文化学所属(ソルフェージュ分野主任)。

鈴木皓矢・Koya Suzuki(チェロ)
桐朋学園大学音楽学部チェロ科を首席卒業後、バルセロナのリセウ音楽院で研鑽を積み、その後渡独。ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程を修了。
5歳よりチェロを始め、桐朋学園高等学校音楽科を卒業。サイトウ・キネン室内楽勉強会、小澤征爾音楽塾オーケストラプロジェクトIに参加。これまでにルイス・クラレット、ダミアン・ヴェントゥーラ、倉田澄子、常光聡の各氏に師事。室内楽を元アルテミス・カルテットのアンテア・クレストンに師事。第10回ラス・コルツ国際コンクール器楽部門第4位入賞。日本チェロ協会主催「第9回チェロの日」にソリストとして出演。東京文化会館、東京オペラシティ、ハクジュホール、フェニックスホール等にてソロリサイタル、室内楽リサイタルを開催。各方面より好評を博す。2022、23年にはピアノ三重奏団「TRIO VENTUS」としてリサイタルツアーを開催。Web批評誌メルキュール・デザールをはじめ、各誌にて絶賛を博す。オーケストラ奏者としても各地のオーケストラに首席奏者として客演している他、弦楽四重奏団「Eureka Quartet」のメンバーとしてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会シリーズを定期的に開催し、積極的な室内楽活動を展開中。
第33回青山音楽賞バロックザール賞受賞。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。日本アコースティックレコーズより「TRIO VENTUS Schubert & Shostakovich」 「Lux」がリリースされている。