月別アーカイブ: 2008年1月

再生と展望

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先日イベントで行った現場で、思わぬ話の展開になった。
デパートの中にある映画館が何年も前に閉館となり、今では社内のミーティングと倉庫になっていた。
実はそこがイベント出演者の控室となっていたのだが・・・
150人入る映画館は正面にはスクリーン、ゆったりとした客席、高い天井、一通り揃った音響施設と環境は整ったまま使われなくなっていたのだ。
思わず「もったいない!!!」と、ビルの管理会社の担当者へ感想を述べた所、「どうにもできない」という答えだった。
「どうにもできない」とはどういうことか?
そこを管理する人間を回す余裕がない、元が映画館のため使用用途が限られてしまう。機材が不十分、舞台の袖が無い・・・などなど・・・。
私にしてみれば、そんなのは問題の内に入らないのだが・・。

話を聞いた後、私はその映画館を外部の管理運営会社に任せて、会場を貸し出すことを提案した。
担当者はそこまで考えていなかったのか、とても興味深げに私の提案に耳を傾けて下さり、更には上司の方までもご紹介いただいた。
もちろん、「管理運営は私どもにお任せ下さい」という前提で私は話をしていたのだが・・・。

この場所も、全く問題が無い訳ではない。担当者がおっしゃる様に、ピアノなどの音楽設備がないということは、かなり用途が限定されてしまう。
ならば、逆の発想はどうだろう。巨大なスクリーンと一通りそろった音響設備、近年では理想的な150席の正方形の会場。
しかも、駅前の、しかも百貨店の中に入っている施設という立地条件を生かさない手はないはずだ。
私は、いくつものホールを見て来た。立地条件と施設が全てパーフェクトと思えた会場はそうそうない。(すぐに思い浮かばない)

家に戻ってから、ふと考えてみた。
もしかしたら、全国にはこのような会場が沢山あるのではないだろうか。
ホールを新しく作ることも大切だが、もともとある環境を新しい世代の人たちへ、使用用途を含めて提案して行くべきではないだろうか。
環境が整っていないからこそ、その中でできる「新しい文化」が作り出されて行くのではないか。
そんな事を考えさせてくれる会場だった。
私だったら、あんな公演や、こんな公演を作るのだけど・・・と、また一人頭の中でコンサートを作っては楽しんでいる。

音楽に関わる仕事は、想像だけでも楽しめる、素晴らしいお仕事なのだ!!