原題「BRSSED OFF」 1996/イギリス
イングランド北部ヨークシャーの炭鉱夫のブラスバンド(金管バンド)が、ロントンのロイヤル・アルバートホールで披露するまでの苦闘物語。
「炭坑の金管バンド」という設定がものすごくガテンなイメージでマッチしていました。
木管楽器は入らなくて正解。
炭坑の閉鎖で、仕事を失うかもしれない不安を抱えながらブラスバンドのコンクールに向けて練習する中、「今は音楽をしている場合ではない」という考えからコンクールを断念しようとするメンバー。
しかし、指揮者とバンドのメンバーたちが音楽という素晴らしい絆で再び楽器を手に、ロンドンのアルバートホールでの全国大会に挑む。
日本にも社会人吹奏楽団やアマチュアオーケストラが沢山あるが、会社が倒産の危機に立たされた時に、果たして演奏を続けることができるのか…と、ふと考えさせられる映画でした。
指揮者ダニーの為に、暗闇で演奏した「ダニーボーイ」には涙が出ました。
この映画は、実際に南ヨークシャーの炭鉱町だったグライムソープにある、グライムソープ・コリアリー・バンドにまつわる実話を元にしているそうだ。さらに、演奏シーンではメインのキャスト達と一緒に、グライムソープ・コリアリー・バンドのメンバー達が出演していて、サウンドトラックも彼らの演奏によるものだそうだ。
素晴らしい演奏でした。
この作品のよいなと思った点は、主役や主な登場人物が、決してトランペットではなかったこと。
主役がトランペットではいかにも「主役だから目立つ楽器やってます」というイメージで、しかも演奏シーンで必ずボロが出てしまう。
フリューゲルやテナーホーンなど、あまり日本では馴染みのない楽器で、決して花形楽器ではない(失礼;)からこそ、映画を見ていても違和感なく見れたのだと思います。
楽器やってる人が音楽もの映画を見た時、演奏シーンがあるとどうしても、「う〜ん、ちょっと違う…」と、興ざめしてしまうのですよね。
ちなみに、一番若いメンバー(たぶん)のアンディーを演じた、ユアン・マクレガーは、『スター・ウォーズ』の若かりし頃のオビ=ワン・ケノービ役のあの人です。
指揮者のダニー役のピート・ポスルスウェイト氏は、何度見てもいかりや長介さんに見えてしまって…いや、彼はイギリスのシェイクスピアなどの舞台出身の素晴らしい役者さんです。スピルバーグの「ロスとワールド/ジュラシックパーク」にも出演されています。
残念ながら今年(2011年)1月にお亡くなりになったそうです。