僕のピアノコンチェルト

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2006年のスイス映画。
「僕のピアノコンチェルト」は邦題で、原題は『VITUS』。主人公の少年の名前だ。
なぜ、この邦題をつけたのか…この映画を見た人なら誰でも疑問に思うであろう。
内容とあまりマッチしていない…
内容は、計測不能の高いIQを持つ天才少年がピアノの才能を見いだされ、親や周りからのプレッシャーや才能故の孤独を唯一理解してくれる祖父との時間の中で成長して行く。
ある日「他の人間になりたい。普通の人に」と苦しい胸のうちを吐き出すヴィトス。そんなヴィトスの姿を見たおじいちゃんは「決心がつかなければ、大事なものを手放してみろ」と語る。
そしてヴィトスが手放そうとしたものは…
この映画の凄い所は、このキャストが揃わなければ実現しなかったであろうことだ。
主役のヴィトス役のテオ・ゲオルギューは、数々のコンクールでも華々しい成績を残し、音楽学校でピアノを学ぶ本当の天才少年である。
母親が女優であったことで演技の才能も受け継がれたようだが…
通常音楽ものの映画は、主役は「弾きまね」による演技がほとんどで、共演者だけは実際に演奏していたりという場合が多いのだが、この映画は主役が本当に弾いている!!!
イタリア映画やフランス映画を見ているような、ゆったりとした雰囲気がまた素敵です。
おすすめの作品!!

ゴールデンウィークはチャリティーコンサートへ

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「義援金」という言葉をあちこちで目にしすぎて、ちょっとお腹いっぱいな方には…
「チャリティー」をお薦めします。
同じ「寄付」でも、ちょっとスタンスの違う形です。
うちでも震災後はコンサートを行う際には必ず入口に「義援金箱」を設置して、ご来場のお客様に義援金の呼びかけをしてきました。
しかし…
箱にお金を入れてくださる方があまりにも少ないことに、落胆することがほとんどです。
芸能人や著名なアーティストが箱を手に呼びかけをすると、瞬く間にお金を箱に入れようとする人が集まって来る光景を見ますが、街頭で募金箱を持った人が大きな声で呼びかけをしている姿を見ても、その箱にお金を入れていれる人を見かけることは滅多にありません。
これと同じことなのかもしれませんね。
何に対して募金をするのか…ではなく、誰にお金を託すのか…
確かに、自分も街頭募金にお金を寄付したかといえば No です。
昔は、赤い羽募金などの時は必ずと言って募金をしていた記憶がありますが、時代とともに募金の仕方もどんどん変わって来たように思います。
だからという訳ではありませんが、音楽好きなら音楽を聴きつつ寄付もできるチャリティーコンサートがお薦めです。
沢山のチャリティーコンサートが開催されています。
ぜひチャリティーコンサートに足を運んでみてください。
いつも聴いていないジャンルのチャリティーコンサートに足を運んで見るのも一つの提案です。
宝くじではありませんが、自分にとって「当たり」となるコンサートに出会えるかもしれません…

ブラス!(Brass!)

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原題「BRSSED OFF」 1996/イギリス
イングランド北部ヨークシャーの炭鉱夫のブラスバンド(金管バンド)が、ロントンのロイヤル・アルバートホールで披露するまでの苦闘物語。
「炭坑の金管バンド」という設定がものすごくガテンなイメージでマッチしていました。
木管楽器は入らなくて正解。
炭坑の閉鎖で、仕事を失うかもしれない不安を抱えながらブラスバンドのコンクールに向けて練習する中、「今は音楽をしている場合ではない」という考えからコンクールを断念しようとするメンバー。
しかし、指揮者とバンドのメンバーたちが音楽という素晴らしい絆で再び楽器を手に、ロンドンのアルバートホールでの全国大会に挑む。
日本にも社会人吹奏楽団やアマチュアオーケストラが沢山あるが、会社が倒産の危機に立たされた時に、果たして演奏を続けることができるのか…と、ふと考えさせられる映画でした。
指揮者ダニーの為に、暗闇で演奏した「ダニーボーイ」には涙が出ました。
この映画は、実際に南ヨークシャーの炭鉱町だったグライムソープにある、グライムソープ・コリアリー・バンドにまつわる実話を元にしているそうだ。さらに、演奏シーンではメインのキャスト達と一緒に、グライムソープ・コリアリー・バンドのメンバー達が出演していて、サウンドトラックも彼らの演奏によるものだそうだ。
素晴らしい演奏でした。
この作品のよいなと思った点は、主役や主な登場人物が、決してトランペットではなかったこと。
主役がトランペットではいかにも「主役だから目立つ楽器やってます」というイメージで、しかも演奏シーンで必ずボロが出てしまう。
フリューゲルやテナーホーンなど、あまり日本では馴染みのない楽器で、決して花形楽器ではない(失礼;)からこそ、映画を見ていても違和感なく見れたのだと思います。
楽器やってる人が音楽もの映画を見た時、演奏シーンがあるとどうしても、「う〜ん、ちょっと違う…」と、興ざめしてしまうのですよね。
ちなみに、一番若いメンバー(たぶん)のアンディーを演じた、ユアン・マクレガーは、『スター・ウォーズ』の若かりし頃のオビ=ワン・ケノービ役のあの人です。
指揮者のダニー役のピート・ポスルスウェイト氏は、何度見てもいかりや長介さんに見えてしまって…いや、彼はイギリスのシェイクスピアなどの舞台出身の素晴らしい役者さんです。スピルバーグの「ロスとワールド/ジュラシックパーク」にも出演されています。
残念ながら今年(2011年)1月にお亡くなりになったそうです。

音楽もの映画

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毎日何かしら書くと決めた以上、何か書かなければいけないのだけれど…
そんなに毎日話題がないので、「音楽もの映画」のカテゴリを増やして、こちらでご紹介してゆくことにします。
私の場合は、残念ながら映画館に映画を見に行く時間的な余裕がないので、もっぱらホームシアターでの鑑賞です。
DVDになるのをひたすら待っているしかないので、こちらでご紹介しても既に話題としては古いと思われますが、許してくださいませ。
もし、こちらで紹介する作品でまだ見たことのない物が出て来たら、ぜひ見てみてくださいね。
ご感想などもお待ちしています!
ちなみに、過去に見た作品のなかから順不同で思い出したものからご紹介します。

カペラッテコンサート終了

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4月22日と4月24日に、2日に渡って行なったCAPPELLATTE10周年記念コンサート。
お陰様で、沢山のお客様にご来場いただき、無事に終了いたしました。
余震が心配される中、一緒に10周年の節目を見届けようとたくさんのお客様にご来場いただきました事、本当に感謝しております。
余震…
今回のコンサートは本当にこれが一番の問題で…
高層ビルの3階にある近江楽堂は、ホール自体は地震で崩れたりするようなことはないのですが、緊急地震速報が入ると、ビル全体に放送が入るらしく…ホールも例外なく放送が入ってしまうとの事で、このことを先にお客様にお知らせしたりと、通常のコンサートにはないお知らせが必要となりました。
リハーサル中にゆら〜りと揺れる事がありましたが、この放送が入る事もなく、無事に終了!!
いろいろな意味で、ドキドキするコンサートでした。
CAPPELLATTEは毎回、衣装だけでなく照明による空間演出にもこだわり、その会場にある照明設備を最大限に使用した演出をします。
24日の公演は昼間の公演だったために、天窓から光が差し込みあまり照明効果が発揮できていなかったかもしれません。
私はずっと裏にいたために、客席やステージの状況が見られず残念。
今回も、いろいろとやらせて頂きました。
お客様には気付いて頂けたでしょうか…

カペラッテコンサート

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この春10周年を迎えたカペラッテが本日記念コンサートを開催した。
もう10年か…
彼女たちの演奏を聴いたのは、それこそ10年前頃の古楽の森コンサートでのことだ。
うちで主催する、古楽界の若いアーティストたちのジョイントコンサートにカペラッテ出演したのがきっかけだった。
当時はまだ学生の雰囲気が演奏にも出ていたように記憶しているが、今日の演奏は磨き抜かれたアーティストとしての風格すら感じさせる演奏だった。
独特の雰囲気を持った彼女たちの演奏が、今後どれだけ沢山の人たちを魅了して行くのか楽しみだ。
私自身は…といえば、10年前と何一つ変わっていない気がする。
変わったことと言えば…現場仕事での体力がなくなったことだろうか。
今日も7時間ほぼ立ちっ放しだったが、帰りの道中で足が疲れて駅の階段で何度もよろける始末…
ああ、情けない。
早くスタッフに仕事を任せて現場を引退しないといけません。
10年後はどうしているやら…

仙台フィルチャリティーコンサート

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こんなに心が熱くなったコンサートは初めてだった。
山口綾規さんと仙台フィルによる献花ならぬ献奏の後に全員で黙祷を捧げ、コンサートがスタート。
山下一史さんの指揮で、高木綾子さんのフルートと吉野直子さんのハープをソリストに迎えてモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲。
その後、ヴァイオリンの高島ちさ子さんをソリストに、マスネのタイスの瞑想曲。
ヴァイオリンの加藤知子さんと同じくヴァイオリンの漆原朝子さんをソリストに、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調。
ここから指揮者が広上淳一さんに代わり、ヴァイオリンの三浦文彰さんをソリストにメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調
ピアノの小山実稚恵さんをソリストにラフマニノのピアノコンチェルト2番

それぞれ、1楽章だけとか、2、3楽章だけという短い演奏でしたが、もうこれだけで、コンサートに3つくらい行った気分になれる。
休憩後は、ヴァイオリンの徳永二男さんとチェロの堤剛さんをソリストに迎え、ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲。
きっと二度と聴くことのできない幻の共演だったのではないだろうか。
そして、最後は広上淳一さんの指揮と出演者全員によるベートーベンの交響曲7番!!
この出演者みな…というのが凄い。
徳永さんや堤さん、それぞれソリストを務めた著名な方々がいわゆるオーケストラの末席、一番指揮者から遠い位置に座っているのだ。
そして、プログラムをよーく見ると、引退されたはずのオーボエの宮本文昭さん、ヴァイオリンの磯絵里子さん、チェロの古川展生さん、クラリネットの村井祐児さん、その他ものすごいメンバーが仙台フィルのメンバーに加わっていたのだ。
自分たちが表にでるのではなく、仙台フィルをサポートする側に徹するという姿勢がとても感動的でした。
これが本当の支援する心なのだなと…
こんなコンサートはいままでになかった。
きっと歴史に残る、語り継がれるコンサートだったと思います。
きっとあれ以上の感動的なコンサートは今後出てこないかもしれないと思った程です。
演奏だけでなく、客先全てが愛に溢れ、皆が仙台フィルを、被災地を応援したいという同じ心だったからかもしれません。
このコンサートの発起人として、ご挨拶をされていた徳永さんと堤さん。本当にありがとうございました。
そして、渾身の指揮で、ほとんどリハーサルもできなかった混合オーケストラをまとめあげた広上さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてそして、何より、大変な状況でも演奏を続けてくれる仙台フィルの方々に、ありがとうとエールを送ります。
きっと、体力的に大変なコンサートだったと思います。
今日はゆっくり眠れるかな?
しかしまた余震が…
引き続き応援して行きます!

ばーたー

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最近とても好きな言葉。
バーター
意味は、物々交換(英: barter)らしい。
芸能界など業界では、束(たば)を逆に読んだ「ばた」から来たもので、「抱き合わせ出演」の意味。ドラマ・映画などのメイン出演者と同じ所属事務所の新人俳優、女優を出演させる事。
本来予定された人の出演が叶わなくなり、そのかわりに「格下の人を出演させる」という意味合いで使われる場合もある。理由は、知名度を上げるためだったり、単に穴埋めのことも。
(by Wiki)
公演の宣伝をする時に、他人のコンサートの当日のプログラムにチラシを挟み込ませて頂いたりするのだが、その時に「バーターで…」という使い方をよくする。
つまり、そちらのコンサートで挟み込みをして頂く代わりに、うちのコンサートでの挟み込みもどうぞ、というわけだ。
お互い様なので、ほとんどが円満に話しが通る。
芸能界で使う「ばーたー」の意味のようなことでは、クラシック業界ではあまり使っていない。
しかし、このところ外来アーティストの来日中止などの理由で国内のアーティストに急遽変更してコンサートを行ったりしている。
まさに「ばーたー」だ。
しかし、これでいいのだ。(古い…;)
日本のアーティストをもっと使うべきだ!!
海外アーティストを呼んでばかりでは、日本のアーティストの仕事が減ってしまう。
だから、震災後の今の日本には日本人のアーティストをもっと沢山つかったコンサートを、全国各地でたくさん開催すべきなのだ!!
日本にはもっともっと良いアーティストがいる。
だから、「あまり名前の知られてない日本人より、本場ヨーロッパから来る外来アーティスト」ということだけで公演を作らないでほしい。
まずは、日本の演奏者を日本全国で取り合うぐらいになって欲しいものだ。
だから、ばーたー万歳!!

Twitter やってます

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B-flatもTwitter やっています。
ぜひ覗いてみてください!

https://twitter.com/bflat_mp

デーブ・スペクターさんのすべらないつぶやきに日々癒されています。
批判的なつぶやきが多い中で、批判をしながらにやりと笑かしてくれる。
素晴らしい!

プチトーク

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長年コンサートの制作やらプロデュースなどをしてまいりましたが、演奏以外でステージに立たされるとは考えてもいませんでした。
春に行うコンサートで、演奏前にゲストを迎えてトークを…と言うことになり、そのゲストとセッションをすることになった。
テーマは「子育てママのコンサートの楽しみかた」

とても深く、難しいテーマだ。
私自身、子供が小さい頃はコンサートは諦めていた人なので、子供連れてコンサートに行くなどと、考えたこともなかった。
これからいろいろな人にもリサーチをして、お客さんにも学んで帰っていただかないと…
私の本音としては、子供は預けて、一人でゆったり聴いて欲しい。
最近のママたちは、何をするのも、どこに行くのも子供と一緒なのね。
だから親離れ子離れができないのかもしれません。
確かに他人に預ける不安が多い時代なのも確かです。
音楽界にも時代の余波が…

カペラッテ

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ビーフラットのアーティスト、カペラッテが先日サントリーホールの入口隣のカラヤン広場でランチタイムコンサートを行いました。
秋晴れの穏やかな天気の中、時折会場を吹き抜けて行く風がとても気持の良い一時でした。
まさに風が歌を運ぶ「風のきおく」のCDのようで、お客さんは彼女たちの美しい歌声に、感激していました。
私のプロデュース第一弾でもあるこのアルバムが、世界中の人に聴いてもらえますように…。
まだCDをお聴きになってないかた。ぜひ聴いてくださいませ。
レーベル名の「eist(イシュト)」は、ケルト文化の残るアイルランドの古い言葉、ゲール語で「耳を澄ませて聞く」(listen)から名付けました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
@大橋

はじめてみました!

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こんにちは。
B-flat Music Produce 代表の 大橋です。
社長ブログを作るべきだとのご意見をよくいただいていたのですが、忙しさにかまけておりました。
サーバ移転に伴い、やっとスタートです!
今後とも、B-flat Music Produce 及び、eist recordsををよろしくお願いいたします。

再生と展望

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先日イベントで行った現場で、思わぬ話の展開になった。
デパートの中にある映画館が何年も前に閉館となり、今では社内のミーティングと倉庫になっていた。
実はそこがイベント出演者の控室となっていたのだが・・・
150人入る映画館は正面にはスクリーン、ゆったりとした客席、高い天井、一通り揃った音響施設と環境は整ったまま使われなくなっていたのだ。
思わず「もったいない!!!」と、ビルの管理会社の担当者へ感想を述べた所、「どうにもできない」という答えだった。
「どうにもできない」とはどういうことか?
そこを管理する人間を回す余裕がない、元が映画館のため使用用途が限られてしまう。機材が不十分、舞台の袖が無い・・・などなど・・・。
私にしてみれば、そんなのは問題の内に入らないのだが・・。

話を聞いた後、私はその映画館を外部の管理運営会社に任せて、会場を貸し出すことを提案した。
担当者はそこまで考えていなかったのか、とても興味深げに私の提案に耳を傾けて下さり、更には上司の方までもご紹介いただいた。
もちろん、「管理運営は私どもにお任せ下さい」という前提で私は話をしていたのだが・・・。

この場所も、全く問題が無い訳ではない。担当者がおっしゃる様に、ピアノなどの音楽設備がないということは、かなり用途が限定されてしまう。
ならば、逆の発想はどうだろう。巨大なスクリーンと一通りそろった音響設備、近年では理想的な150席の正方形の会場。
しかも、駅前の、しかも百貨店の中に入っている施設という立地条件を生かさない手はないはずだ。
私は、いくつものホールを見て来た。立地条件と施設が全てパーフェクトと思えた会場はそうそうない。(すぐに思い浮かばない)

家に戻ってから、ふと考えてみた。
もしかしたら、全国にはこのような会場が沢山あるのではないだろうか。
ホールを新しく作ることも大切だが、もともとある環境を新しい世代の人たちへ、使用用途を含めて提案して行くべきではないだろうか。
環境が整っていないからこそ、その中でできる「新しい文化」が作り出されて行くのではないか。
そんな事を考えさせてくれる会場だった。
私だったら、あんな公演や、こんな公演を作るのだけど・・・と、また一人頭の中でコンサートを作っては楽しんでいる。

音楽に関わる仕事は、想像だけでも楽しめる、素晴らしいお仕事なのだ!!

コンサートホールを建てる前に・・

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先日、この秋にオープン予定の小ホールへ伺わせていただいた。
まだ、一度もお客様を迎え入れていないホールの独特の匂いと、全てが新しい設備の数々をホールの方に説明を受けながら楽しんだ。
そして、私が行った目的を果たすべく表周りを案内され、このホールでの公演の時にどのくらいのスタッフが必要なのか、というアドヴァイスを求められた。
一見、シンプルでとても問題がありそうに思えないホールなのだが、建物の構造上の難問があることがそこで発覚。
客席横扉から、建物の他の施設から簡単に誰でも入れてしまう構造になっていたのだ。
つまり、一般に開放しているスペースから客席に入れてしまうのだ。
これでは、こっそりどころか、堂々と、ただで公演が見れてしまう。
だからといって、そこに壁を作って仕切る事も今となっては不可能なのだ。
さらに、客席扉は非常用扉のため施錠はできない。
ちょっと考えればこのような致命的な構造にはならなかったはずである。

全国の公共施設担当者。またはそこを管理する市区町村の方々に、声を大にして言いたい!!!!
建てる前に、ぜひ相談して下さい。
税金を使用した公共の施設なのですから、失敗は許されないはずです。
機材等の消耗品はいつかは壊れるのでその都度再検討をすれば良いかもしれませんが、建築物は一度建ててしまってからでは遅いのです。
なぜ、相談しないのか・・・。相談する相手を間違えているのではないか?
著名な音楽家に表周りの事を聞いても分かるはずがありません。コンサートの時は表にはいないのですから・・・。
私は、今までにそのようなホールをたくさん見てきました。
完璧だったホールが今まであっただろうか・・・?

ホールを建てる時は、どこも皆音響にこだわり、専門家に音響設計を依頼します。
そしてロビー周りには美術品等のアートを配します。
でも本当はそれでけではだめなのです。
ホールは建てて終わりなのではなく、ホールを使う時のことも考えて設計しなくてはならないのです。
舞台の裏側も同じです。どんな公演で使うのか様々なことを予想して作らないと、とんでもなく不便なホールになってしまいます。
特に小さなホールは使い勝手が良い程人気は高くなります。
そして大ホールはホールにホールサービスがついている場合、ホール代金にそのサービスのスタッフ分の人件費が含まれています。その人件費はホールの設計に左右されていると言っても過言ではありません。
私がスタッフへいつも言っていることに「お客様の導線を考える」というのがあります。
「導線を考える」とは、お客様がどのように動くかを想像するということ。
これができれば、一番効率良く、お客様に動いていただくことができ、余計なサービスがいらなくなる。そして、何が必要かも見えてくる・・・。
設計の際に、それができていれば問題が起こらないはずなのです。

どうかお願いします。
これからホールを建てようと思っている方々。
設計の段階で、相談して下さい。
長年ホールに携わり、あらゆるホールで仕事をして来た者でないと気づかないことが沢山あります。
そして、皆から愛される良いホールを作って下さい。

スポンサーとアーティストとの共生

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クラシック音楽を始めとして、所謂メジャーではない音楽のコンサートを開催する場合、ミュージシャンが自分の満足の為に行うライブを除いて、そのほとんどが収益を得る為に行われる。もちろん、チャリティとして行われる公演もあるが・・。
ロックやポップスなどのメジャーなアーティストは、「コンサートをやりたい」と思えば、全国の会場でそれぞれスポンサーが名乗り出て、「コンサートツアー」として日本全国を巡る事ができる。全国に、そのアーティストの歌や演奏を待っているファンがいるから実現するのである。
メジャーではないアーティストや特定のジャンルの音楽の場合、1カ所でのコンサートが精一杯となってしまう。もちろん、地方にファンがいたとしても、わざわざ聴きに来てくれるとは限らない。
当たり前の構図と思えば仕方がない事なのだが、そんな精一杯のアーティスト達に救いの手を差し出してくれるスポンサーはどこかにいない物なのだろうか?
アーティストとスポンサーのマッチング、一番の課題である。

しかし、そんな中、スポンサー側とアーティスト側にそれぞれ考え方の違いや社会通念などが絡み合い、まるで「同じ国に住む異教徒」のように分かり合う事はできないのも事実だ。
スポンサー側は、お金を出す事で、そのアーティストを自分達の看板に仕立て上げ、そのアーティストのコンサートを聴きにくるお客さんに、最大の宣伝をすることが出来る。
アーティストは、言うまでもなくコンサートに関わる経費の一部を負担してもらう事ができ、より収益を増やす事が可能である。
しかし、良い事ばかりではない。
スポンサーの思い通りの集客が見込めなかったり、アーティストが要望と違うコンサートにしてしまったり・・・。
アーティスト側は、自分のやりたい内容で公演をやらせてもらえなかったり、スポンサーからの要望が自分のイメージと違っていたり・・・。
お互いなかなか自分の思い通りに進まない物なのである。

そこで問題です。
お金を出しているスポンサーが偉いのか?それとも最高のパフォーマンスを提供できるアーティストが偉いのか?(まるで卵と鶏のようだが・・)

答えは、「両方」。
そう、お互いが「感謝」し合わなくては成り立たない関係なのだ。
天秤で釣り合っていなくてはならない。
この関係が、ちょっとでも傾いた時にこの「関係」は崩れてしまう。
このことを、きちんと理解してくれるアーティストとスポンサーを募集したいと思う。
我こそは!と思う人や企業はぜひ名乗り出て下さい!

次の事業計画として、アーティストとスポンサーをマッチングさせるコーディネートを考えたいと思っている。
最近注目を集めている企業の「命名権」のように、個人のレベルでもスポンサーとして後援してくれる力が今必要なのです。

アーティスト達が会場費用を気にしないでコンサートを開催できる、そんな時代が早くやってくる事を願いつつ・・・。

音楽ビジネスの変貌

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新しくできたコンサートホール等でお仕事をすることがある。
デザインは昔に比べて洗練されていて、かなり施設にお金をかけている。
しかし、デザインや音響ばかりに気を取られて実際に使用する人や、ホールに足を運ぶお客さんのことを考えていないのだ。
果たしてそれで良いのだろうか?
ホールは自主企画と言う主催公演をどこも行っている。
有名な演奏家を呼んで、演奏会を開くことでホールのイメージアップと地域住人への文化貢献ということらしい。
これはとても大切なことだと思う。これがなければ演奏家達は、自分でホールを借りてコンサートを開催しなければならないからだ。
実は、一昔前はそんな状況だったのである。もちろん演奏者自身がコンサート会場を予約して・・というのではなく、専属の音楽事務所がマネージメント、あるいは主催という形でコンサートホールを借りてコンサートを行うことが多かった。
今ほど公共ホールがなく、所謂市民会館的な施設で、歌謡ショーや発表会等を行うことで会場が利用されていた。
会館が主催してコンサートを行うということはあまりなく、むしろ大物の借り手が多かったのだ。
バブル崩壊後に批判された、ハードにお金をかけてソフトが問題といわれるホールは、慌てて有名な演奏家を呼んで、地元の住人への「文化貢献のためのホール」であることをアピールした。
その辺りから、全国的にホールの主催公演が増え、赤字の公共ホールも増えてしまったのだと推測している。
そして、公共ホールの方々の話を聞くと、結局自主公演をしても公共事業のためチケット代金を高くすることが出来ず、赤字は埋まらず、むしろ予想を下回って売れなかった公演があった場合は、赤字が増えてしまうことになるのだ。
何のためにホールは自主公演をしなければならないのか??
最近の私のテーマになっている。
最初の、ホールを利用する人や来場のお客さんのことを考えていない・・というテーマからずいぶん反れてしまった。
こちらについては、また次回・・・

代表の独り言

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今まで、代表としてあまり表に出ることがなかったのですが、やはりそれでは良くないのではないか・・と、心を改めることにしました。
そして、今まであまり公表していなかったプロフィールも、簡単ですが公開することにしました。
基本的に現場に立っていることが好きな私ですので、出来る限りコンサート会場の入口付近や、アーティストが演奏をしているステージの袖に立っていることが多いのですが、最近はスタッフ研修や、NPOの方より音楽プロジェクトのアドヴァイスを求められたりと、仕事の内容に変化が出始めている。
自分の過去を振り返ると、演奏家→イベントプロデュース→コンサート企画制作→コンサートホールレセプション→音楽ホールプロデューサー・・・と、次々と移り変わっているように見えるが、その一つ一つの仕事が全てに関連付けされていて、また全てが音楽と言う物の為に必要な仕事なのである。
今では、それらの仕事を総合的に担当することもしばしば・・。
周りを見渡しても、自分と同じようにあらゆる業務をこなして来た人はいないのではないだろうか。
だからこそ、最近意見を求められることが多いのかもしれません。
研修だけでなく、講演会でもやろうかな・・・